それでは毛玉諸君、これにて失敬

日々の精進を備忘録的に綴ります。

【読書感想文】 失敗の科学

明けましておめでとうございます。
寝正月を過ごしてます。ko_ya346です。

僕は失敗が大嫌いなプライド激高人間なのですが、この本を読んで色々思う所があったので、備忘録として要点をまとめてみました。

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失敗の価値

失敗からよく学ぶ業界として最も有名なのは航空業界でしょう。
航空機には「ブラックボックス」という、飛行データとコックピット内の音声データを保存する箱が搭載されています。事故が発生すると、この箱を調べて原因を追求し、二度と同じ失敗が起こらないように対策が取られます。
これにより、かつてはパイロットの死亡率は50%に及んでいましたが、今ではフライト100万回につき0.41回まで減少したそうです。とにかく事故が減ったようです。

逆に、失敗をあまり活用しない業界の例として医療業界が挙げられています。
2013年の米国内による調査によると回避可能な医療過誤による死亡者数は年間40万人以上と算出されました。さらに調査すると、このような医療過誤を起こす医師は、やる気のない人でも悪意があるわけでもなく、真面目に仕事に取り組む医師が起こしていることが分かりました。

では、航空業界と同様に医療業界も失敗から学ぶことは出来ないでしょうか?
答えはNO。なぜなら医療業界には「完璧でないことは無能に等しい」という考え方があり、失敗を失敗と認めないからです。
この状況は、暗闇で行うゴルフと例えられています。暗闇で球を打っても、自分の打球がどこに行ったか分かりません。そのためスイングの改善点が見つからず、いくら打っても上達しません。
現在は医療過誤を共有するような取り組みが数多く行われており、徐々に医療過誤は減少しているそうです。

かつて米第32代大統領夫人、エレノア・ルーズベルトはこんな言葉を残しています。

「人の失敗から学びましょう。自分で全部経験するには、人生は短すぎます」


なぜ失敗から学べないのか

人は自分の信念と相反する事実を突きつけられた時、2種類の解決法があります。

1つは、自分の信念が間違っていたと認める方法。しかし、自分が思った程有能でなかったと認めることになるため、この方法は難しい。
2つめは、事実をあるがままに受け入れず、自分に都合のいい解釈を付ける方法。あるいは事実を完全に無視したり、忘れてしまうこと。

皆さんもテストの結果が悪い時、「体調が悪かったから」「寝不足だったから」「問題が悪い」などの言い訳をしたことはないでしょうか?
自分の実力はテスト結果として如実に現れているので、この事実を受け入れないという2つめの解決法を取っていることになります。

自分の信念と事実とが矛盾している状態を「認知的不協和」と言います。
認知的不協和が恐ろしいのは、自分が認知的不協和に陥っていることにめったに気付けないことです。自分自身を欺いているため、ほとんど自覚することが出来ません。

失敗から学ぶためには、失敗を恐れないことが大切です。
例として、

2, 4, 6

という数字を見たらどんなルールで並んでいると思うでしょうか?
「上の数字と同じルールで並んでいると思う3つの数字を好きなだけ答えて、正解を見つけ出して下さい」と言われたら、あなたはどうしますか?
下の3つの箱に数字を入れ、判定ボタンを押すとそのルールを満たすか判定してくれます。
ぜひとも法則を見つけてみてください。

, ,





パッと見てすぐにいくつかの仮説が立てられます。

  • 偶数が並んでいる
  • 3番目の数字は、前の2つの数字の和

重要なのは、その仮説をいかに証明するか。
「偶数が昇順に並んでいる」という仮説なら、「10, 12, 14」や「100, 102, 104」で仮説を確認する方法が考えられる。
しかし、もっとも手っ取り早い方法は「仮説が間違っているかどうかを確認すること」です。「6, 4, 11」と仮説に合わない数列を与えてルールに当てはまっているようなら、仮説は間違いだと分かります。
ちなみに前述の問題の答えは

昇順に並んだ数字

です。


間違った仮説から抜け出す唯一の方法は、失敗することです。
失敗をすることは、正解を導き出すのに一番手っ取り早い方法というばかりでなく、唯一の方法であることもあります。

失敗と向き合うために

失敗に直面した時の思考傾向は下の2種類に分けられます。

固定型マインドセット

知性や才能はほぼ固定的な性質と捉えている

成長型マインドセット

知性も才能も努力によって伸びると考えている考えている

失敗に直面すると、前者の思考傾向の人は「自分に才能がない証拠」と受け止め、後者の人は「自分の力を伸ばす上で欠かせないもの」としてごく自然に受け止めるという違いがあります。

失敗は悪いことではなく、成長に欠かせないもの。
失敗に対する認識を改めることが、失敗から学ぶ為の第一歩と言えます。

感想

失敗はとても悪いことだと思っていました。おそらく環境の問題かと思いますが、こと日本において失敗は非難すべきものという認識があると思います。
自分でも気付かないうちに、失敗しないための努力をしていた気がします。仕事においても作ったシステムに不具合がないか時間をかけてチェックしていました。それでもバグは発生しますが。
重要なのは「失敗との向き合い方」。失敗をむしろ喜べるようなマインドセットを持ちたいです。
このブログも完璧を求めるが故に書くことを恐れていましたが、失敗するために積極的に書いてみようと思いました。

最後に、世界最高のフリーキッカーであるデビット・ベッカムの言葉で締めようと思います。彼は幼少期からフリーキックの練習を行っており、沢山の失敗の経験からインタビューにこんな事を言っていたそうです。

私のフリーキックというと、みんなゴールが決まったところばかりイメージするようです。
でも私の頭には、数えきれないほどの失敗したシュートが浮かびます。

失敗を恐れない、いい1年にしましょう。